頭痛

headache

頭痛について

頭痛で苦しむ人 イメージ写真

「いつものこと」と
思わず受診が大切です。

数年来の慢性的な頭痛は体質的なものと思い込んで、諦めて市販の鎮痛薬(痛み止め)のみで対応している人も多いようです。

また、いままで経験したことのないあるいは、いつもと違う頭痛を感じた場合、特に頭痛以外の症状がなかったら、病院に行くべきかどうか迷う方も多いかもしれません。

このような場合、頭痛外来を受診することをお勧めします。

頭痛の種類

頭痛には、脳卒中(脳の血管の病気)や脳腫瘍など命の危険性がある頭痛(二次性頭痛)と、命に関わらないものの生活には大きな支障をきたす頭痛(一次性頭痛)があります。

一次性頭痛に関しては、頭痛のタイプに沿った治療を行うことで、頭痛からほとんど解放される可能性があります。

代表的な疾患

一次性頭痛

原因となる他の疾患がない頭痛

片頭痛と基本の治療方法

ズキズキ強い痛み

緊張型頭痛

締め付けられるような頭の重さ

副鼻腔炎による頭痛

鼻づまりや発熱を伴う頭痛

群発頭痛

目の奥がえぐられるような痛み

二次性頭痛

他の疾患が原因となる頭痛

くも膜下出血

突然の激しい頭痛

脳動脈解離

突然の激しい片側頭痛

脳腫瘍

徐々に悪化する持続的な頭痛

慢性硬膜下血腫

徐々に進行する頭痛と認知・運動の障害

くも膜下出血
突然の激しい頭痛
最も緊急性を要する二次性頭痛です。多くの場合は、脳の主要な動脈に動脈瘤(どうみゃくりゅう)とよばれるコブが存在し、これが破れることで、発症します。突然にハンマーで殴られたような頭の痛みで発症します。発症すると、手術の治療を行っても約半数がおおくなりになり、残り半数のうちも過半数で後遺症が残存すると言われています。
救命のためには、できるだけ早く破れた脳動脈瘤を特定して、外科的治療(開頭クリッピング術あるいはカテーテルによる動脈瘤コイル塞栓術)を行う必要があります。一般的には激しい頭痛で発症しますが、中には軽症の方もおられて、普通に外来に歩いてくるケースもあります。
いずれにせよ、いままで経験したことのない頭痛の場合は、くも膜下出血を疑ってMRIやCTによる検査を行うことが重要です。
片頭痛
ズキズキ強い痛み
片頭痛は女性に多く20~40代に集中しますが、男性や子どもにも見られます。動作で悪化、吐き気や光・音・匂いの刺激に敏感になるなどが特徴で、前兆が出る場合もあります。
治療は生活習慣の見直しと投薬が基本。投薬は発作時に使う薬と予防薬があり、効果は個人差が大きいため医師と相談しながら選びます。
近年はCGRP関連注射で重症例にも対応可能になっています。
緊張型頭痛
締め付けられるような重さ
緊張型頭痛は片頭痛と並んで多く、頭の両側に圧迫感や締め付け感があり、30分~数日続きます。
日常動作で悪化せず吐き気も少ないため生活への影響は軽度ですが、慢性化すると治療が必要です。治療はストレス軽減や運動、マッサージなどの非薬物療法、鎮痛薬や筋弛緩薬などの薬物療法があります。
ただし鎮痛薬の長期乱用は薬物乱用頭痛(MOH)を招くため注意が必要です。片頭痛と併発も多く、自己判断せず早めに専門医へ相談が勧められます。
群発頭痛
目の奥がえぐられるような痛み
群発頭痛は片側の目や前頭部、側頭部に起こる一次性頭痛で、20~40代男性に多く見られます。
症状は目の充血、涙、鼻づまり、瞼のむくみや発汗など自律神経症状を伴い、痛みは片目をえぐられるように激しく、じっとできません。アルコールで誘発されることがあり、60~180分持続します。
一般的な鎮痛薬は効かず、皮下注射や点鼻薬、酸素吸入が効果的です。
副鼻腔炎
鼻づまりや発熱を伴う
副鼻腔炎(蓄膿)が原因で眼やおでこ周辺に慢性的な痛みが生じ、頭痛として感じられることがあります。
CTやMRIで副鼻腔に異常があっても原因と断定できませんが、耳鼻科での治療が推奨されます。副鼻腔炎が改善すると頭痛が消える例もあります。
その他の頭痛も問診や画像・血液検査で多くは診断可能なため、原因不明の頭痛は医療機関での検査を受けることが望ましいです。
脳動脈解離
突然の激しい片側頭痛
動脈解離は動脈の内膜が剥がれることで生じ、激しい痛みを伴います。頭蓋内では椎骨動脈に多く、後頭部痛で発症することが多いです。
原因は特発性や外傷で、頭痛や首の痛みのみの場合もありますが、血管が詰まると脳梗塞、破れるとくも膜下出血になることもあります。
若年の脳卒中原因としても見つかることがあり、診断にはMRI・MRAが必要で、早期診断と専門医による管理が重要です。
脳腫瘍
徐々に悪化する持続痛
脳腫瘍による頭痛は血管性の頭痛のように突然起こることは少なく、数日~数週間かけて徐々に悪化します。
特に朝方に頭痛が出やすく、場合によっては突然の嘔吐を伴うこともあります。
診断にはCTやMRIによる画像検査が必要です。
慢性硬膜下血腫
徐々に進行する頭痛と認知・運動の障害
慢性硬膜下血腫は原因は不明ですが、高齢男性に多く、軽い頭部打撲の1~2か月後に頭蓋骨内と脳外側に血液がゆっくり貯まる病気です。
軽症では無症状ですが、血腫が大きくなると脳を圧迫し、認知症、麻痺、歩行障害などが現れます。
圧迫が強い場合は局所麻酔下で血腫を吸引する手術が必要で、診断にはCTやMRI検査が必要です。